芝浦工業大学名誉教授 三浦昌生の「講義日記」

授業が終わったら日記を書く。題して「講義日記」。大学での授業回数は通算1998回まで到達。教壇に立つ大学教師の気持ちが伝われば‥‥。

板書がなくてもポイントをノートに書こう

第1567回 「史上最低の板書」

環境工学Ⅰ 2012年6月11日

今日の板書はひどかった。
測光量という光の量を表す指標には光束、光度、照度などがある。
それぞれの用語をあらかじめ板書して、解説しながら
キーワードで埋めていこうとした。

しかし、立体角など各指標以外の解説にも板書のスペースが
必要になり、空いたスペースに次々に板書していった。
そしたらグシャグシャになった。
史上最低の板書だ。
授業中にも教卓でつぶやいたように、授業とは難しいものだと
つくづく思う。

敗因は、板書を始める段階で、書き上げた板書の全体像を
描き切れていなかったことにある。
毎年同じ教科書を使い、何度も板書しているはずなのに、
うまくいく年とうまくいかない年がある。

こちらの体調とか、学生の反応とか、何かほんのわずかの違いで、
講義が成功するか失敗するかが分かれる気がする。
教師と学生が教室で向き合い、その日だけの講義ができあがる。
講義は生きものだ。

少し落ち込んで、教卓で片づけをしていたら、
学生が質問にきてくれた。
それに答えるうちに、元気が出てきた。

学生からの反応で教師も元気になれる!

第1515回 「教師が板書しなくてもポイントをノートに書こう」

都市環境管理 2011年10月13日

先週の講義で出席票の裏にコメントを書いてもらったので、それに回答した。
細かい字で詳しいコメントを書いた学生が多い。
すべてのコメントに答えられないのが残念だ。

今日の講義のテーマはヒートアイランド。
この現象はマスコミもよく取り上げるが、仕組みは意外に理解されていない。
そこで、まず実態を示すデータをパワーポイントで見せた。
ところが、スライドを数枚進めたところで教室全体のテンションが下がってしまった。

この講義のあとに回収した出席票にこう書いた学生がいた。
「この講義はしっかり受けようと心構えをしているのに、昼食後の3時限で、
居眠りをしてしまった。今後は何とか居眠りをしないように努力していきたい」。
また、先週の出席票に「お昼後はどうしても眠くなってしまう」と書いた学生もいた。

眠気を防ぐにはどうすればよいか。
それには、自分で意図的に手を動かすことが大切だ。
講義のポイントをノートにメモしていくのだ。

小学生の頃から、教師が黒板に何かを書いたら、それをノートに写すことをやってきた。
ほとんど反射的に、かつ機械的な習慣だ。
それ自体は悪いことではないが、逆に、教師が黒板に何も書かなければ、
自分もノートに何も書かないというのがほとんどだ。

「教師が板書しなくてもポイントをノートに書く」。この姿勢を身に付けよう。
板書をそのまま書き写す作業に比べて、はるかに頭を使う。
それが脳のテンションを高め、眠気を吹き飛ばすのだ。

社会に出たら会議の議事録を取るのも若手社員の仕事。
常日頃トレーニングしておかないとメモをとるコツは身に付きません!

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